大地震に見舞われた後、今いる建物は安全か。余震には耐えられるのか――。地震大国の日本で繰り返し問題になる被災した建物の診断技術の開発が進んでいる。速やかな判定は、住民の避難の判断やいち早い復旧に役立つ。
津波地震は「どこでも起きる」 負の歴史も背負った見解
東日本大震災が起きた8年前の3月11日。東京大学地震研究所の楠(くすのき)浩一教授(建築構造)は、当時勤めていた横浜国立大(横浜市)の研究棟で大きな揺れに見舞われた。
建物は鉄筋鉄骨コンクリート造りの8階建て。耐震改修済みとはいえ、強い揺れにたまらず学生らと外に飛び出した。揺れがおさまると、建物に置いていた「あの装置」の判定記録を確かめた。
「建物は損傷しているが、同じ大きさの余震が起きても倒壊しない」。記録からすぐに建物の状態を読み取れた。落ち着いてから調べると、建物はわずかなひびが入った程度で、装置の判定結果と実際の被害はよく合っていた。
この装置は、大きな地震の後、建物が安全かどうかを瞬時に判定するシステムだ。楠さんたちのチームが開発した。
仕組みはこうだ。建物に取り付…