金属製品の品質データを改ざんしたとして、不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪に問われた神戸製鋼所(神戸市)に対する判決公判が13日、立川簡裁であった。八木正一裁判官は「我が国の製造業全体の信頼も揺るがした」と述べ、求刑通り罰金1億円を言い渡した。
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八木裁判官は同社が業界最大手にもかかわらず、「取引上、最も基本的で重要なルールに違反した」と批判。生産至上主義やコンプライアンス意識の不足といった企業体質も指摘し、「多年にわたる常習的な犯行だった」と述べた。
判決によると、同社の3製造所は2016年9月~17年9月、顧客と合意した基準を満たさなかったアルミや銅製品などの検査データを改ざんし、基準を満たしたと偽った検査証明書305通を顧客に渡した。
同社は17年10月に不正を公表。不正は1970年代から行われていたことが分かり、18年4月に会長兼社長らが辞任した。同年6月に東京地検特捜部と警視庁が本社などの家宅捜索に乗り出した。同社は「判決を厳粛に受け止め、再発防止策の実行に真摯(しんし)に取り組んでいく」とコメントした。(滝口信之)