昨秋の九州王者として選抜に出場する筑陽学園(福岡)が13日、西日本短大付(福岡)に出向き、練習試合で4―0と快勝した。1番打者で遊撃手の中村敢晴(1年)にとって特別な感情がわいてくる相手だった。
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父の寿博(日本文理大監督)は1992年夏、西日本短大付の主将として全国初制覇を果たした。兄の宜聖(ソフトバンク育成選手)の母校でもある。「そんな相手だから勝ちたかった。たくさんの人が見ている中で力を出せて自信になった」
先発で唯一の下級生。父の経歴も相まって何かと注目されるが、「プレッシャーを力に変えています」。二回、追い込まれてからチェンジアップを捉えて右前安打。守備では深いゴロを踏ん張ってさばき、「体の軸ができてきた」と成長を実感した。
筑陽学園の江口祐司監督も、西日本短大付が全国制覇したときのコーチ。人を引きつける力があった、と中村の父の思い出を話してくれた。「そういう遺伝子を持っているだろうということで、1年生のキャプテンをさせてもらっています」と中村は笑う。
父や兄と同じ「西短」に進まなかったのは、「父みたいに『全国初優勝』を狙おうと思ったから」。2人が汗を流した母校で、また一つ志が膨らんだ。(隈部康弘)