文化審議会は18日、飛鳥時代の極彩色壁画で知られる奈良県明日香村の「キトラ古墳壁画」を国宝に指定するよう文部科学相に答申した。
1983年、特別史跡・キトラ古墳の石室で発見された。東西南北の壁にそれぞれ青龍、白虎、朱雀、玄武の「四神」、天井には東アジア最古とされる天文図が描かれている。下地の漆喰(しっくい)が浮き上がるなど、崩落して壊れる危険があるため2010年まで6年余りかけて厚さ3~7ミリ程度の1143片に分けてはぎとられた。つなぎ合わせてカビなどを除く修復作業を終えたのが16年。ようやく審査できる状況になり、昨年、重要文化財に登録された。
本格的な極彩色壁画が残る国内の古墳は、近隣の高松塚古墳壁画(国宝)と二つだけだが、高松塚は盗掘で南側の壁が崩れて絵が確認できなかった。文化庁の綿田稔・文化財調査官は「キトラ古墳では南側の壁に描かれた『朱雀』もきれいな形で残り、これによって高松塚についても想像できる」と説明。「日本の古代絵画史を考える上で不可欠だ」と評価した。(上田真由美)