愛知県田原市の旬の景色を眺めながら、渥美半島特産の食材を使ったフランス料理が楽しめる「東三河レストランバス」が、大人気だ。
東海地方では初お目見えで、定員は25人、1階は厨房(ちゅうぼう)、2階が対面式の客室になっている。東三河地域の経済界などでつくる東三河レストランバス実行委員会が主催した期間限定の運行で、今月31日まで。
乗車募集はすでに完売
ツアーは、豊橋駅前を出発点とする六つのコースがある。伊良湖岬や漁港、菊や観葉植物の温室を訪れたり、満開を迎えた菜の花を見学したり、イチゴ狩りやフラワーアレンジメントの体験したり、渥美半島の観光資源を存分に生かす。あまりの人気で追加したコースを含め、募集は完売状態になった。
2月に木曜日から日曜日までの35コースを設けたが、三河湾や太平洋などの各地を巡るコースが募集とともに完売になった。
提供される料理は「ホテルアークリッシュ豊橋」の総料理長を務める今里武さんが自ら全コースに乗り込んで、腕を振るう。
太平洋や三河湾を巡るコースでは、出発前にアサリのコンソメスープと前菜の菜の花とシラスのキッシュが提供される。続いてキャベツのポタージュ、サーモンのオードブル、メインディッシュの伊良湖黒牛のステーキとなり、デザートは旬のイチゴだ。
開閉式の天井 さわかやな風に歓声も
多くのコースで最初に立ち寄るのが、標高250メートルの蔵王山。三河湾と太平洋の両方が望め、空気が澄んでいる時には富士山頂を見ることができる。
私が乗ったコースでは、蔵王山で添乗員がバスの天井部分を手動で開けた。オープンカーのようにさわやかな風が吹き込み、客から大きな歓声が上がった。
バスが真っ黄色に染まった菜の花畑や、海沿いの道を走る、客は食事の手を止め、カメラやスマホなどで記念写真を撮るのに大忙しだ。
漁港にバスが到着すると、採れたてのアサリを漁船で運んできて、今里総料理長に手渡す演出や、魚市場を見学したり、収穫中のキャベツ畑を訪れたりと見どころが続いた。
客のほとんどが女性で、名古屋市から参加した女性は「料理がおいしくて、景色も最高。大満足です」と話していた。
田原市は農業産出額、花生産額とも全国1位。東三河レストランバス実行委の担当者は「田原の魅力を満喫してもらえるようにした。好評なので、できれば来年も続けたい」という。(連勝一郎)