宇宙での長期滞在と健康維持について考える「朝日宇宙フォーラム2019」(朝日新聞社主催、宇宙航空研究開発機構〈JAXA〉後援、ヤクルト本社協賛、ANAホールディングス、東宝東和協力)が2月、大阪市で開かれた。宇宙飛行士の金井宣茂さんの基調講演や宇宙開発の現場で活躍する人たちなどによるパネル討論があり、2020年代後半から本格化する月開発や活発化する民間企業の宇宙事業について語りあった。(司会はフリーアナウンサーの田村あゆちさん) 基調講演 金井宣茂宇宙飛行士 国際宇宙ステーション(ISS)に2017年12月から約6カ月滞在し、非常に貴重な経験をすることができた。 ISSの大きさはサッカーコートと同じくらい。人間は、真ん中の与圧部という部分にいる。その一つとして、日本実験棟「きぼう」がある。 ISSでの生活には、「閉鎖環境」「宇宙放射線」「無重力」という、宇宙ならではの三つの特徴がある。宇宙船の技術がないと、人は宇宙では生きていけない。 閉鎖環境とは、宇宙ステーションの中に閉じ込められて暮らすこと。それから無重力。やはり半年間も無重力で生活すると、筋肉や骨など体が弱ってくる。我々宇宙飛行士は、巨大なマシンを使って、毎日2時間半、トレーニングをしないといけない。でも、バランス感覚をつかさどる三半規管などに影響が出るため、帰還して急に重力がある環境に戻ると目が回る。 宇宙空間を飛び交っている宇宙放射線は、たとえば月とか、もっと遠く火星とかに行こうとすると、人体に与える影響が問題になってくる。もし手頃な値段であれば宇宙旅行に行ってみたいという人は4割弱くらいいるが、宇宙医学によるサポートが必要だ。 宇宙環境でも人が楽しく暮らせるように、JAXAを含めた世界各国の宇宙機関が、宇宙医学の研究に取り組んでいる。 きぼうでは、高品質のたんぱく質の結晶を作る実験のほか、メダカやマウスを使った様々な生命科学の実験を行っている。高品質のたんぱく質は、病気になると輸血が難しいペット用の人工赤血球を作る研究にも生かされている。 宇宙での研究は、地上の生活も豊かにしてくれる。 パネル討論 ――皆既月食や探査機「はやぶさ2」の小惑星到着など、2018年は様々なニュースがあった。 中川翔子さん 改めてすごい1年だったと思う。小学校のとき、惑星探査機ボイジャーが撮影した木星を見たときから宇宙が大好き。私の夢は死ぬまでに深海と宇宙に到達すること。参考になるお話をたくさん聞けたらと思う。金井さんは船外活動でどんな感覚だったか、ぜひ聞かせていただきたい。 金井宣茂飛行士 幸運にも船外活動をしたが、正直、あんまり覚えていない。 中川 ええっ! 金井 仕事に集中していて。ただ、すごく怖かったイメージはある。ISSから外に出ると、足元に明るい地球があるだけで、それ以外は真っ黒な、本当に先の見えない闇があった。 ――船外活動は、宇宙ごみが飛… |
盲腸になったら? 将来は病院も 宇宙滞在と健康を語る
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