三菱重工業とJAXA(宇宙航空研究開発機構)は15日、鹿児島県の種子島宇宙センターで同日午前5時59分に予定していたH2Bロケット7号機の打ち上げを中止したと発表した。2段目のエンジンに推進剤を送る部品に異常が見つかったため。打ち上げには1週間以上かかるという。
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H2Bは、国際宇宙ステーション(ISS)向けの物資や小型衛星を積んだ補給船「こうのとり(HTV)」を打ち上げる予定だった。
三菱重工によると、打ち上げ4時間前の点検で、2段目のロケットエンジンに液体酸素を送り込む際に圧力を調整する「ベントリリーフバルブ」で異常が見つかった。酸素が必要な圧力に達しないため、燃焼に必要な酸素を供給できない可能性があるという。
詳しい原因は不明で、同じ部品を使っているH2A、H2Bシリーズで初めてのトラブル。バルブを愛知県小牧市の同社工場に持ち帰って原因を調べる。打ち上げまでに最短1週間かかり、追加の試験が必要になればさらに時間がかかるとしている。
会見した二村幸基・打上執行責任者は「かなり重大な課題。手前でチェックはできたが、(予定通りに打ち上げる)期待に答えられなかったことは残念」と話した。
JAXAによると、ISSの食料や燃料には数カ月分以上の余裕はあるが、H2Bの打ち上げが1カ月以上遅れると、こうのとりの電池などの再点検が必要になるという。