「米国版はやぶさ」とも言われる米国の探査機「オシリス・レックス」が昨年12月、地球から約1億キロ離れた小惑星「ベンヌ」に到着した。日本の探査機「はやぶさ2」も来月後半、「リュウグウ」に着陸して砂や石の採取に挑む。日米の探査機による小惑星探査が本格化する。
はやぶさ2が2月後半に小惑星着陸へ 当初は昨年の予定
米探査機「オシリス・レックス」は、打ち上げから2年3カ月、約20億キロの長旅を経てベンヌに到着した。最大のねらいは、ベンヌの試料を地球に持ち帰ることだ。
「太陽系の化石」と言われる小惑星には、46億年前の誕生当時の姿を残す岩石や砂があるとされる。直接調べれば、生命に欠かせない水やアミノ酸などの有機物の起源、太陽系の成り立ちに迫ることができる。
オシリス・レックスは1日(日本時間)、ベンヌの高度約1・8キロまで近づき、62時間で1周する軌道に入った。小さな天体はいびつな形で重力も弱く、探査機が周回するには、入射角度などの慎重な調整が求められる。ベンヌの直径は約500メートルで、これまで探査機が周回した天体として最も小さい。
ミッション責任者でアリゾナ大のダンテ・ローレッタ教授は「何年も計画してきた素晴らしい成果だ。地図の作製と、着陸場所探しがいよいよ始まる」と述べた。今後1年以上かけて、高解像度の撮影をしながら、地表成分や地形、熱の噴出の有無などを詳しく調べ、着陸候補地を2カ所に絞る。
着陸は2020年7月の予定で、長さ約3メートルのロボットアームの先につけた円柱形の装置を地表に5秒間押しつけ、噴射した窒素ガスで舞い上がる砂を吸い込む。少なくとも60グラムを採取し、23年9月の地球帰還を目指す。これだけの量を回収できれば、1960~70年代に月から岩石を持ち帰ったアポロ計画以来となる。
ただ、着陸には懸念もある。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさ2が着陸するリュウグウの地表は、事前の想定以上に岩が多く、安全に着陸するためリハーサルを追加し、4カ月延期した。ベンヌも同様に岩が多く、着陸は難航する可能性がある。
JAXA宇宙科学研究所の久保田孝教授は「採取できる砂は大きくても2センチほどだろう。着陸場所に小さな砂があればいいが」と話す。
形状そっくり
オシリス・レックスが320キロの距離から捉えた画像は、昨年11月に公開されると、小惑星の研究者らに驚きを与えた。数億キロ離れたリュウグウ(直径約900メートル)の姿と、「双子」のようにそっくりだったからだ。
「同僚から『間違えてリュウグウに行ったんじゃないのか』と言われたよ」。NASAで小天体探査の主任研究員を務めるポール・エーブル博士は、当時こう話した。
小惑星は、岩石成分が多い「S…