タイの選挙管理委員会は25日、民政移管に向けて24日に実施された総選挙について、下院定数500のうち350の小選挙区の暫定結果を発表した。反軍政のタクシン元首相派のタイ貢献党が首位だが、親軍政の国民国家の力党も2位につけた。比例代表を加味すれば両党の差は縮まり、連立交渉を経て軍政のプラユット暫定首相が続投する可能性が濃厚になっている。
選管によると、各党の小選挙区の暫定議席は、タイ貢献党が137、国民国家の力党が97、中堅政党のタイ名誉党が39、反タクシン派の民主党が33、反軍政の新未来党が30などとなっている。
今回の選挙制度は各党の得票率に応じて下院全議席を割り振る仕組みで、小選挙区で割り当て分の議席数を上回ると比例代表の議席が得られなくなる。比例代表の議席は5月9日までに選管が発表するとしているが、タイ貢献党は比例での上積みはなく、国民国家の力党には一定の議席が積み上がる見通しだ。
総選挙後の首相指名には軍政が事実上任命する上院の250人が投票に加わるため、親軍政勢力は126議席を取れば上下両院合計の過半数でプラユット氏を指名できる。国民国家の力党は最低でも第2党が確保できそうなことに加え、中堅政党などを連立に引き込むことで、プラユット氏を首相に就けることが可能とみている模様だ。
国民国家の力党のウッタマ党首は25日の記者会見で、「理念や政策をともにする政党と連立協議に入る」と述べた。(バンコク=貝瀬秋彦、染田屋竜太)