盗みに入る家の資産調査などの目的で、電話で探りをいれる「アポイントメント電話(アポ電)」。都内で2月、ひとり暮らしの高齢女性が強盗に遭い、殺害された事件でも、アポ電がかかっていた。愛知県内でもアポ電と見られる電話が多数確認されている。一方、被害防止のためにユニークな防犯グッズの開発も進んでいる。
「自宅に現金置いているか」
「テレビ局の番組アンケートです。いくつか質問に答えてもらえませんか?」
愛知県日進市に住む70代男性の自宅に2月中旬、男の声で電話がかかってきた。相手の番号は非通知。電話口では丁寧な口調で、男性の年齢や家族構成などを聞いてきた。質問は次第に「現在、収入はあるか」「自宅に現金は置いているか」といった、資産に関するものになっていった。
不信感を抱いた男性は電話を切った。テレビ局に確認すると「最近同じ問い合わせがあるが、そうした電話はしていない」。アポ電と確信し、すぐに県警に通報した。
男性は「被害はなかったが、気味が悪い」と振り返る。今は、非通知の着信には出ず、不審な電話がかかってきたら会話内容を書き残せるように電話機の横にメモ帳を置く。
愛知県警捜査2課によると、県内では1月中旬から2月中旬までの約1カ月間、アポ電と見られる相談が8件あった。すべて同じテレビ局を名乗り、アンケートへの協力を呼びかけるなかで預金額を聞いてきたという。資産の質問が出てくる前に、趣味や食生活、健康法などを聞かれた人もいた。県警は「最初に関係ない話をして信用させるためのカムフラージュ用の質問だろう」とみる。
警察や金融機関を名乗るケースもあるが、いずれも資産状況などを具体的に聞いてくるのがアポ電の特徴だ。
県警は「金に関する質問に答えると、犯罪に巻き込まれる可能性がある。電話があれば、すぐに相談してほしい」と呼びかける。
■「お金の話をしてきたら、きっ…