金融庁は、スルガ銀行のシェアハウス融資の不正問題を受け、金融機関の不動産投資向け融資の実態を調べたアンケート結果を公表した。スルガ銀の問題では、顧客の融資資料を業者が改ざんして年収を水増しし、融資を不正に引き出す例が相次いだ。融資資料の確認が不十分で不正が横行したが、今回の調査では、他の銀行でも確認が不十分な例があった。
アンケートは全国530の銀行、信用金庫、信用組合に行った。
マンションやアパートなど1棟にまるごと投資する融資について、借り手の所得を給与明細などの原本で必ず確認していたのは、銀行では回答したうち25%。原本かコピーで必ず確認していたのは83%。信金・信組ではそれぞれ31%、85%だった。業者経由で書類を入手し、借り手の資産状況の把握を業者任せにしていた銀行もあったという。
業者が設定した不動産の価格水準や借り手に説明している賃料水準について、妥当かどうかを必ず確認していると回答した銀行は86%だった。借り手が収支見通しやリスクを把握しているかの確認を業者任せにしている例が少なくなかった。
金融庁の担当者は「スルガの融資が問題視されるまで、多くの金融機関に業者を疑う発想がなかったようだ」と語る。金融庁は監視を強化し、改善が進まない銀行には立ち入り検査も検討する。(山口博敬)