東京証券取引所の市場区分見直し議論に関する情報漏れを巡り、波紋が広がっている。東証の有識者懇談会の委員を務める大崎貞和・野村総合研究所未来創発センターフェローが、懇談会での議論が証券会社に漏れた問題に関与したとして、26日の政府の国会同意人事案から外された。政府は大崎氏を公認会計士・監査審査会委員に充てる予定だった。
また大崎氏は27日付で、内閣府の規制改革推進会議の行政手続部会の専門委員を辞任した。理由については「都合により辞任」としている。同氏は証券市場や金融規制に詳しいことで知られ、政府の審議会委員や大学の客員教授も務めた。
東証は市場区分見直しを巡り、昨秋に有識者懇談会(座長=神田秀樹・学習院大教授)を設置して議論しており、大崎氏は6人いる委員の1人。
東証は懇談会の意見を踏まえ、現在の東証1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場を3市場に再編し、新たに時価総額などを各市場への上場基準とすることを検討している。この懇談会の議論を巡る情報が証券会社に漏れた疑いがあると一部で報じられていた。
問題について、東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)の清田瞭CEO(最高経営責任者)は28日の定例会見で「事実関係が分からず、取引所として何らかの手を打とうとは考えていない」とした上で「それはまずいのではないかという事象が事実として出てくれば検討する必要がある」と述べた。
野村ホールディングスは28日、「本件を大変重く受け止めている。現在精査中だが、情報の取り扱いに問題があったと認識しており、早急に対処する」(広報)とコメントした。