かつて日本の占領下にあったマレーシアで、地元政府が旧日本軍兵士の慰霊碑に添えた説明文をめぐり、激しい反発が起きている。日本政府の財政支援を受けて慰霊碑を修復した際、兵士を「英雄」とたたえたためだ。旧日本軍による犠牲が多かった中華系の団体は今週にも日本大使館を訪れ、撤去を求める方針だ。
この慰霊碑は北部ケダ州の州都アロースターにある。戦いの要衝だった橋の爆破によって戦死した旧日本軍の兵士らを追悼するため、1941年に建設された。長く破損したまま放置されていたが、日本のペナン総領事館からの財政支援を受け、地元政府などが修復。3月21日に落成式が行われた。
ところが、慰霊碑の横に、兵士を「英雄」とたたえる説明ボードが設置されたことで、地元で非難が沸き起こった。マレーシアでは戦時中、中華系を中心に多くの住民が旧日本軍に殺されており、地元メディアは「侵略軍がなぜ英雄なのか」などと連日報道。華人団体や野党が抗議行動を繰り広げた。ナジブ前首相もツイッターに「慰霊碑はすべてのマレーシア人への冒瀆だ」と投稿した。
批判の高まりに、説明文を考案した歴史協会ケダ支部は「慰霊碑を歴史ツアーの名所にして日本の観光客を誘致したかった。侵略行為をたたえる意図は全くなかった」と釈明。州政府の担当者が謝罪し、説明ボードも撤去されたが、その後も慰霊碑自体の撤去を求める声が広がり続けている。
抗議を続ける華人団体「中華大…