かつて「断捨離」、いまは「ときめく片づけ」。モノやサービスを共有するシェアリングエコノミーも注目される。「所有」に拘泥しないライフスタイルがもてはやされ、文化領域においても聞き放題・見放題・読み放題の「サブスクリプション(定額制)」が活況を呈する。手元にモノを置かなくていいのは便利だが、その危うさについて考えさせる事態が起こった。
ミュージシャンで俳優のピエール瀧容疑者が3月、麻薬取締法違反の疑いで逮捕された。30年にわたって日本を代表するテクノ音楽ユニット「電気グルーヴ」のメンバーとして活躍してきたが、契約するレコード会社は逮捕翌日、CDやDVDの出荷停止と共に、音源と映像のデジタル配信を停止した。すると、ネット上で「CDはまだ必要と再認識した」などの感想が相次いだ。
どういうことか。背景には音楽の楽しみ方の変化がある。
1990年代までは、アナログ…