会場に集まるのは、吹奏楽で唯一の弦楽器「コントラバス」の奏者だけ。参加者も審査員も裏方も、みんなコントラバス奏者――。中高生を対象にした、そんなソロコンテストが3月26日、東京で開かれる。企画のきっかけは、吹奏楽部を指導するプロ奏者が受けた衝撃だった。
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音鳴らない楽器、間違った奏法にプロ衝撃
コントラバスは高さ約2メートルの弦楽器。吹奏楽では低音の響きを出すために使われる。吹奏楽コンクールの際には1~3人で演奏されることが多い。
企画したのは、プロ奏者の鷲見(すみ)精一さん=埼玉県在住。高校生から吹奏楽部でコントラバスを始め、国内外の音楽大学で本格的に学んだあと、プロの吹奏楽団や交響楽団で演奏するようになった。30代後半で、中高や大学の吹奏楽部に教えにいくようになって衝撃を受けた。
管理が悪く、音がほとんど出ない楽器を使っていたり、そもそも奏法が間違っていたりする生徒がたくさんいたからだ。
原因は、はっきりしていた。顧問が管楽器や合唱の経験者であることが多く、弦楽器の奏法や指導法に詳しくない。ほかにも、地方ではプロに教わる機会がなく、間違った知識が先輩から後輩に長年引き継がれたままになっていた。さらに気になったのは、生徒がソロでコンテストに出場しても、審査員にコントラバス奏者がいないこと。「正当な評価がしてもらえない」と鷲見さんは話す。
ほかに指導をしている奏者仲間…