吉本興業は3月29日、エンターテインメント産業の人材を育成する学校を来年3月に中国・上海に立ち上げると発表した。同社が得意とするコメディーや舞台劇に携わる人材を育てる目的で、中国の民営メディア大手、華人文化グループ(CMC)と共同で設立。吉本新喜劇の芸人や制作スタッフを、講師役として派遣する予定という。
吉本興業は国内にタレント養成所「NSC」を持つが、海外に養成機関をつくるのは初めて。当初は50~100人程度の生徒を募集し、役者や音響・照明の技術者などに育てる。将来は、ダンサーや歌手といったパフォーマー、映画・アニメの技術者などにも対象を広げる方針だ。
CMCは中国本土、香港、台湾などに向けた映画やテレビ番組の制作、映画館の運営などを手広く手がけている。中国ではエンタメ産業の人気が高まっている一方、「働きたい人はたくさんいるのに、養成する機関が少ない。自社の劇場や制作現場で実践的な研修をしていきたい」(ホイ・ツー・トーマス最高執行責任者)という。
卒業生が活躍できるよう、映画館や劇場、放送局などの拠点もアジア地域で整備していく考え。吉本興業の清水英明・海外戦略本部長は「学校運営だけでなく、お互いの持つメディアを生かしたコンテンツ作りも進めたい」と話す。(久保田侑暉)