2017年に味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)で行われたレスリングの強化合宿中に頸髄(けいずい)を損傷する大けがを負った元学生王者の男性(22)と母親が、安全に配慮する義務を怠ったなどとして、日本レスリング協会などに介護費や慰謝料など計2億2600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたことが4日、分かった。
提訴は3月28日付。ほかの被告は、練習相手の男子選手と所属先、協会の栄和人・選手強化本部長(当時)、栄氏と雇用契約を結んでいた日本オリンピック委員会。訴状によると、原告の男性は17年9月の合宿中、隣のマットの選手との接触を避けようと力を抜いた際、両腕を外から固められた状態で真後ろに投げられ、首や頭を強く打った。練習のルールの統一や、危険を避けるためのコーチの適切な配置がなされていなかったなどと主張している。
日本協会は「訴状が届いていないのでコメントできない。しかしながら誠意をもって対応させていただく」としている。