凄腕しごとにん
新潟県南魚沼市の地名を冠した「八色(やいろ)しいたけ」の特徴は、かさの厚さだ。厚いものは4~5センチある。「スーパーマリオ」のキノコのようだ。
生産者15軒でつくる「八色しいたけ事業協同組合」は毎年、夏休みに都会の子どもたちを招くシイタケ狩りツアーを開いている。代表理事の駒形永幸さん(38)は「子どもはみんな、より大きいシイタケを探して手を伸ばします」と言う。
栽培ハウスの数は現在約120棟。ここ数年、栽培品種の統一などを推し進めた結果、販売量は約1400トンの大台を2年続けて達成した。生産者価格ベースの販売額は約14億円になった。
生産者価格は、1キロあたり平均約1千円。卸売業者が利ざやをのせて売買する東京都中央卸売市場の年平均価格が1千円近辺であることを踏まえると、高い水準だ。
出稼ぎしないですむように
売り先はJA魚沼みなみ(現JAみなみ魚沼)が切り開いてきた。いまでは東京・銀座の料亭から米国系の会員制大型スーパー「コストコ」にまで広がる。
米価の低迷などに危機感をもち、新しい農産品のブランド開発にいどむ地域は多いが、根付くのは簡単ではない。八色しいたけは今のところ、成功例になりつつあるようだ。
組合によると、地域の生産者2軒がシイタケの原木栽培を始めたのは1981年ごろ。コシヒカリ発祥の地として知られるコメの産地は、豪雪地帯でもある。農家にとって、農閑期の出稼ぎはあたり前で、家族が離ればなれにならずにすむ収入源をさがすためだった。
■肉厚のヒミツ…