津田梅子のひ孫にあたる写真家の津田直さん(42)=福岡市=は「手に取った女性が勇気づけられるような紙幣になってくれたら」と話す。
8日昼ごろ、財務省の担当者から「津田梅子さんが図柄として採用になりました」と連絡があった。「まさか紙幣とは」と驚きつつ、「身の引き締まる思いになった」と振り返る。
梅子は6歳で米国に発ち、11年後に帰国した。当時の日本は、女性が男性と対等に働くことなど考えられなかった。「梅子が開いた扉から、梅子を上回る女性が出てくると思います。今回の紙幣がそうした未来につながるのなら、子孫としてうれしく思います」
渋沢栄一のやしゃご、コモンズ投信の渋沢健会長(58)は「『正しい道理でなければ富は永続しない』という渋沢の思想は、サステイナビリティー(持続可能性)の重要さについて説いたもの。これからの社会でも考えなければいけないことだ」としつつ、「お札になることで、渋沢の思想が広まることには意義があると思う」と話す。
北里柴三郎の孫で、北里研究所顧問の北里一郎さん(86)=東京都=は「柴三郎にとって紙幣になることは、福沢諭吉先生への恩返しだろう」と推し量る。
柴三郎はドイツ留学から帰国後、福沢の支援で研究を再開し、結核の病院をつくった。「これからの日本のために、という福沢先生の強い気持ちを柴三郎が紙幣で受け継ぐ。若者に伝わればうれしい」と話した。