日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)=会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕=の弁護団が9日公開した映像で、ゴーン前会長は発言の大半を日産の現経営陣への批判に費やした。事件は、日産と仏ルノーの統合に向けた動きが進むと恐れた幹部による「陰謀」「謀略」「中傷」だと主張。日産の業績低迷や株価下落、三菱自動車を交えた3社連合のリーダーシップの欠如を嘆いた。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ゴーン前会長は、逮捕前の昨年9月の日産の取締役会で、3社連合の「アライアンス(提携)を深める議論を進めていきたい」と発言。これを機に日産側は独立性を脅かされることへの危機感を強めたとされる。
ゴーン前会長は映像で「統合、すなわち合併に向けて進むことが、ある人たちに確かな脅威を与え、それがゆくゆくは日産の独立性を脅かすかもしれないと恐れたのです」と分析し、この「恐れ」が「陰謀」につながったと主張した。
約7分半の映像のほぼ半分、約3分50秒を費やして日産の現経営陣への批判を展開。「この2年で3回の業績の(下方)修正があり、何度も不祥事(検査不正問題)があった」とも指摘し、「現経営陣に問題があった」からだと断じた。
「株価の下落と業績の低迷を目にしながらも、幹部たちは『あれはしない、これはしない』と言って、今後何をするのかも言わない」「業績を向上させるビジョンもなく、自らを誇っている幹部たち。それを見ることは非常に悲しい。うんざりさせられる」と嘆く一方で、自らを「20年かけて企業価値を創造し、ブランドを強化してきた人間」だと表現。経営陣が「退廃して無頓着になっているのを目にすることは本当につらい」とも述べた。
撮影時には経営幹部の実名を挙…