中国共産党の改革派指導者で、1989年4月に死去した胡耀邦(フーヤオパン)・元総書記の命日にあたる15日、親族らによる追悼式が江西省共青城市の墓園で開かれた。胡氏の死は、今年で発生30年となる天安門事件のきっかけにもなっており、当局は追悼式を厳しく監視した。
午前9時すぎ、胡氏の顔が彫られた墓碑前で、制服や私服の警官数十人が周囲で警戒するなか、親族や支持者ら100人ほどが献花した。式典後、胡氏の三男の胡徳華氏は「改革開放を進め、世界に溶け込んだ成果として今の中国がある。さらに改革開放を進めなければならない」と語った。
胡氏は気さくな性格と進歩的な思想で庶民にも愛された。80年代には民主的な改革を進めようとしたが、総書記時代の87年、民主化を求める学生への対応が甘いとトウ小平ら長老から批判を浴びて失脚した。
89年6月4日に起きた天安門事件は、胡氏の死をしのぶ学生らが天安門広場に集まったことがきっかけで、党にとって胡氏への評価は今も複雑だ。追悼式の花輪に、党中央の指導者からのものはなかった。
山東省から来た男性は「胡氏の時代は言論も今よりずっと自由で開放的だった」と懐かしんだ。(江西省・共青城=延与光貞)