米国が、南米ベネズエラのマドゥロ大統領に対する圧力を強めている。ポンペオ米国務長官は国境を接するコロンビアの北部ククタを訪れ、「(ベネズエラの)マドゥロ大統領の不正な権力は終わらねばならない。米国は、ベネズエラの人々を支援するため、取り得る経済的、政治的手段を行使し続ける」と演説した。
ポンペオ氏は12日からチリ、パラグアイ、ペルーを訪問。14日午後にククタに入り、国境の橋やベネズエラからの避難民が暮らす施設などを見て回った。ペルーの有力紙エルコメルシオの取材に、今回の歴訪について「友好国とベネズエラ問題について話し合うことが目的だ」と説明。ベネズエラの現状を「中国とロシア、そしてマドゥロが年月をかけてもたらした破壊だ」と述べた。
米州評議会のエリック・ファンズワース副理事長は、ポンペオ氏の南米訪問は「ベネズエラを支える中国とロシアを牽制(けんせい)するメッセージを送る狙いがある」とみる。焦点となる米軍の軍事介入があるかについては、「マドゥロ政権を退陣させるには、ブラジルなど中南米の近隣国と足並みをそろえなければならない。広大な国土のベネズエラでの作戦はコストも大きく、トランプ氏はその判断はしないだろう」と語った。(ククタ=岡田玄、ワシントン=渡辺丘)