北朝鮮の崔竜海(チェリョンヘ)最高人民会議常任委員長は13日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長について「朝鮮人民の最高代表で、国の全般を指導する国家の最高職責者」の地位に就いたと述べた。朝鮮中央通信が14日伝えた。
これまでなかった「最高代表」という呼称が加わったことから、11~12日に開かれた最高人民会議(国会に相当)で憲法が改正され、正恩氏が対外的に同国を代表する元首としての地位を得たとの見方が出ている。正恩氏はこれまで、北朝鮮では「最高領導者」や「同志」と呼ばれてきた。
崔氏の発言は、正恩氏が最高人民会議で国務委員長に再選されたことを祝う、市民大会で出たものだ。国務委員長は、国の政策を指導する立場にあるものの、憲法上は対外代表権を持たないとされている。
同国の憲法で元首に位置づけられているのは、最高人民会議常任委員長だ。現在、その職にあるのは正恩氏の最側近の崔氏。今回の最高人民会議で、1998年から務めてきた金永南(キムヨンナム)氏と交代して就任した。
北朝鮮政治に詳しい宮本悟・聖学院大学教授は「昨年以来、正恩氏が対外活動を活発化させていることにあわせて、憲法を改正して対外代表権を与えた可能性が高い。もしそうなら事実上、大統領のような存在になる」と分析している。(ソウル=武田肇)