江戸時代から湯治場として愛されてきた熊本県南阿蘇村の地獄温泉「青風荘.(旧清風荘)」が16日、2016年の熊本地震による被災以来、3年ぶりに日帰り入浴を再開した。本震があった4月16日を「負けてたまるか、という出発の日」と決めて、奮闘してきた3兄弟が、待ちわびた常連客らを笑顔で出迎えた。
午前10時前、名物の「すずめの湯」がオープンすると、なじみの客らが次々と訪れた。底から湧き出る強い酸性の青灰色の湯は、傷やアトピー、痛みに効くとされ、長年通う人も多い。同県大津町の吉川治夫さん(78)は数年前まで南阿蘇村立野に住んでいて、長年の地獄温泉の通い客。「待ちに待っていた。やっぱり、ここの湯は質がいい。ここに入ると風邪をひかないんですよ」と喜んだ。
山都町の農家、富永ナミ子さん(72)は、熊本地震前までは、田植えが終わり、あじさいがきれいに咲く時期に夫婦や兄弟で旅館に泊まりに来るのが楽しみだったという。「湯船の下から湧く湯はやっぱり気持ちがよくて、体がぽかぽかする。湯も前より良くなっている気がする」
社長の河津誠さん(56)は「温泉はお客さんが入ってこそ。やっと本当の温泉に戻った」と話した。
阿蘇山裾の標高700メートル…