熊本県益城町南西部の東無田集落では14日夕、犠牲者の追悼と、集落の復興を願い、小さなとうろうを並べて地震発生の日付「4・14」を浮かび上がらせた。
被災した神社の境内に並べた、とうろう130個には「明日へ」「笑顔で心が豊かになりますように」など集落の人がメッセージを書いた紙を使った。
昨年、西日本豪雨に遭った広島県坂町の子どもたちが被災地同士で励まし合おうと描いて届けてくれた、地元の祭りの象徴という鬼の絵もとうろうに使った。
午後6時半ごろに点火すると、とうろうをのぞき込んだり、他の人たちのメッセージを読み上げたりする人たちの輪ができた。
昨年8月、全壊した自宅を集落内に再建した吉本安男さん(64)は、とうろうに「何もない日常が幸せ」と書き、同居する孫が近くの道端で見つけた四つ葉のクローバーも飾り付けた。
「大変な3年間でしたがようやく日常に戻れた。心配することがない、ということはこんなにも幸せなんですね」
集落では自宅の倒壊に巻き込まれた吉永和子さん(当時82)が亡くなり、夫の敏雄さんも治療の末、一昨年亡くなった。とうろうの点火後、2人をしのんで黙禱(もくとう)が捧げられた。
同町広崎の前田直美さん(70)は、和子さんのめいで、生前は娘のように可愛がってもらった。「地元の人に追悼してもらい、明るかったおばの笑顔が浮かんできます。本当にありがたい」と目を潤ませた。(竹野内崇宏)