17日の第101回全国高校野球選手権の運営委員会で発表された、今夏の甲子園での新たな熱中症対策。記録的な猛暑に見舞われた昨夏、地方でも様々な工夫が凝らされた。日本高校野球連盟はこの日の運営委で、地方大会でも引き続き対策に取り組むとしている。
夏の甲子園、新たな熱中症対策 エアコン増設や床の遮熱
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猛暑日の連続に、試合時間を大幅に変更し、一部試合のナイター開催に踏み切ったのが京都大会だ。気温の最も上がる昼過ぎを避けるため、昨年7月23日の準々決勝では第1、2試合の後に休憩を挟んで、第3試合の開始時間を午後4時に遅らせた。この日、第4試合が実際に始まったのは午後7時1分、終了は同10時37分だった。準決勝も当初の予定より1時間半繰り上げて午前8時半、決勝も4時間早めて午前9時開始とした。
滋賀大会でも昨夏、一日4試合の予定だった3回戦を2試合ずつにしたり、決勝を2時間半遅らせて午後3時開始にしたりするなどの日程変更を行った。
滋賀県高野連の大久保雅生理事長によると、今夏についても3回戦、準々決勝を2会場に分散して試合時間の調整をしやすくしたり、第1試合の開始時間を早めたりする対策を考えているという。ベンチに簡易型の冷房を導入することも検討しているといい、大久保理事長は「事故を防ぐために対策は絶対に必要。昨年の経験も生かし、今年は早めに準備を進めていきたい」と話す。
多くの地方大会で昨夏、グラウンド整備の回数を増やすなどして、選手らが水分を補給する時間を確保した。ベンチへの扇風機の持ち込みを許可する大会もあった。南・北埼玉大会の開会式では先に入場した選手たちが座って他チームの入場を待った。
応援の生徒らを守るための対策もとられた。岡山大会では日よけのためのテントの持ち込みを応援団や保護者に呼びかけた。岡山県美咲町のエイコンスタジアムに日差しを遮る屋根がなかったためだ。球場外には試合前の選手や応援団が炎天下で倒れないよう、マイクロバス2台を待機場所として配備した。宮崎大会では応援席の入り口に氷を用意した。
日本高野連は昨夏の地方大会期間中、熱中症対策に万全を期すよう各都道府県高野連に呼びかけ、全国大会や山梨大会での取り組みを例に挙げた。全国大会では理学療法士が試合中、観客席前列に座り、選手の様子をチェックしていることや、100回大会の開会式では選手、吹奏楽、合唱、プラカードを持つ生徒にペットボトルを配布し、式中に飲むことを勧める予定であることを伝えた。
過去に甲府市で40・7度を記録したことがある山梨では、熱中症の危険度を示す暑さ指数(WBGT)と観測気温に応じ、打者や走者にベンチまで戻って水分を補給させたり、審判員にも控室で休養と水分補給の時間を設けたりしていることを紹介し、対策を促した。
日本高野連は、今夏の地方大会について「昨年に引き続き、試合継続可否の判断基準の設定や各大会の実情に沿った施策を実施するよう、各都道府県高校野球連盟などと協力して取り組んでいきます」としている。(竹田竜世)
昨夏の地方大会での主な対策例
・気温の高い時間を避けるため、試合開始時間の繰り上げ、繰り下げ
・グラウンド整備の回数を増やすなどして水分補給の時間を確保
・ベンチへの扇風機の持ち込みを許可
・開会式で先に入場した選手たちが座って他チームの入場を待つ
・日よけのためのテントの持ち込みを呼びかけ
・マイクロバスを待機場所として利用