火災で損壊したパリのノートルダム大聖堂の再建を支援しようと、修復の専門家の派遣や、修復に携わる人への航空券の提供など、お金以外の支援の表明も相次いでいる。
【写真】ノートルダム大聖堂の尖塔(せんとう)部分が炎と煙にのみ込まれながら崩れ落ちる瞬間をとらえた
イタリアと、カトリック教会の総本山のバチカンは、修復作業に携わる技術者の派遣をフランスに申し出ている。
イタリアでは、歴史的建造物がたびたび火災に見舞われてきた。北部ベネチアのフェニーチェ歌劇場は1996年、火災で焼失。「不死鳥(フェニーチェ)」の名の通り、8年かけて再建された。97年には北部トリノの大聖堂にある礼拝堂で火災が発生し、処刑された直後のイエス・キリストのなきがらを包んだと伝えられる布が、炎の中から救出されたこともある。
イタリア文化省の文化財保護の専門家は、大聖堂の外壁の大理石は火災の高熱で石灰化してもろくなっているところがあり、作業にはとりわけ注意が必要だと指摘している。伊ANSA通信によると、ボニゾーリ文化相は16日、「こうした経験を踏まえ、修復の専門家をフランスに派遣する用意がある」と語った。
ローマ法王庁(バチカン)で文化庁長官に相当する文化評議会議長のラバージ枢機卿も同日、文化財を修復する専門家を送る意向を示した。
仏航空大手エールフランスは、修復作業に関わる人の航空券を無料にすると発表。仏保険大手のグルパマは、大聖堂で使われていた木材の量に相当する1300本分の木材を提供する、と表明している。(ローマ=河原田慎一、パリ=疋田多揚)