パリにある世界的な観光名所として知られ、ユネスコ(国連教育科学文化機関)世界文化遺産のノートルダム大聖堂で15日午後7時(日本時間16日午前2時)ごろ火災が発生し、8時間以上、炎上した。大半の屋根が焼失し、円天井の一部が崩落。高さ96メートルの尖塔(せんとう)が焼け落ちた。8世紀以上にわたり、世界史の重要な場面や文学作品の舞台となり、パリを象徴してきた大聖堂は、大打撃を受けた。
【写真】ノートルダム大聖堂の尖塔(せんとう)部分が炎と煙にのみ込まれながら崩れ落ちる瞬間をとらえた
高さ約70メートルの正面の塔は崩落を免れるなど、骨格そのものは、多くが維持された。出火元とみられる尖塔付近は、改修工事のために足場が組まれていた。パリ検察は16日、「失火の可能性が高い」と明らかにした。出火当日は15人ほどが現場で作業したといい、作業員から話を聴く方針だ。
フランスのマクロン大統領は15日夜、現場を訪ねて「我々は大聖堂を再建する」と語り、国際的な協力を呼びかけた。政府は16日の関係閣僚会議で、再建に向けた議論を始めた。
消防当局が「大半を鎮火した」と発表したのは、16日午前3時半ごろ。消防士400人が消火に当たったのになかなか火を消せなかった理由の一つに、1300本分もの木材が骨組みや屋根部分に使われていたことがある。石造りである一方、屋根裏などに木材が張り巡らされている構造について、火災の専門家は仏紙に「巨大なマッチ箱のようなものだ」と例えた。屋根は高さ40メートル以上、奥行きは約130メートルもある巨大な建物であることも、消火活動を難しくさせた。
上空から散水する飛行機を使う…