16日朝、大聖堂ではクレーン車などを使い、現場検証が始まった。辺りの地面には、火災で飛び散った黒い灰が残っていた。現場周辺には早朝から、多くの市民が詰めかけ、涙を流す人も少なくなかった。
【写真】ノートルダム大聖堂の尖塔(せんとう)部分が炎と煙にのみ込まれながら崩れ落ちる瞬間をとらえた
旅行中だった米国のカイル・アンダーセンさんは火災発生時、大聖堂傍らのセーヌ川で観光船に乗っていた。大聖堂から白煙が立ち上るのが見え、灰が舞い、火の熱まで感じたという。アンダーセンさんは「パリの空気が急激に変わったのを感じた。ただただ、悲しく、残念だ」。
アフリカのアンゴラから約40年前、パリに移り住んだエマニュエル・コルディアさん(77)は毎週欠かさず、大聖堂で礼拝した。「大聖堂は宗教や人種に関係なく世界中から多くの人が訪れ、団結させてくれる場所。自分の魂の一部のようなものだ」と涙を浮かべた。再建のため、20ユーロ(2520円)を寄付する予定だ。
パリ郊外に住むピエールエルベ・ゴージョンさん(41)は火災を見て、無力感を抱いたという。だが「過去にもひどいことがあった時には多くの人が大聖堂に集まった。フランスは今、社会的にも政治的にも国民が分断されているが、この出来事をきっかけに一つになれる」と語った。
「被害を見積もるのはまだ難し…