日産自動車の資金を私的に流用したとして会社法違反(特別背任)の罪で追起訴された日産の前会長カルロス・ゴーン被告(65)について、東京地裁は25日、保釈を認める決定を出した。保釈保証金は5億円で、即日納付した。東京地検は決定を不服として地裁に準抗告するとみられる。地裁が準抗告を退ければ、ゴーン前会長は早ければ同日中にも、東京拘置所から再び保釈される見通しだ。
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地裁の保釈決定は、3月5日に続いて2回目。別の特別背任の罪などで起訴されていたゴーン前会長は翌6日、保釈保証金10億円を納めて、最初の逮捕から108日目に保釈された。だが、今月4日に東京地検特捜部に再逮捕され、再び勾留されていた。22日に追起訴された後、弁護側が即日で保釈を請求していた。
3月の保釈決定は条件として、住まいを東京都内のマンションに制限し、出入り口に監視カメラを設置。事件関係者との接触禁止のほか、パソコンの使用は弁護士の事務所内に限定するとした。今回も同様の条件が課せられたとみられる。特捜部は、妻キャロルさんが事件関係者と接触していたとして証拠隠滅の恐れが高いと主張していた。
ゴーン前会長は2017年7月と18年7月、アラブ首長国連邦の日産子会社「中東日産」からオマーンの販売代理店「SBA」に計1千万ドル(約11億1千万円)を送金し、そのうち計500万ドル(約5億5500万円)を自らが実質保有するレバノンの投資会社「GFI」に還流させたとされる。GFIからは息子の会社に資金が流れ、前会長の投資の資金に充てられたという。