改元に伴い、異例の10連休となる今年のゴールデンウィーク(GW)が27日から始まる。帰省や旅行などで自宅を長期にわたって不在にする人も多いだろう。一方で、金融機関の休業に備えて、自宅に現金を多く置きがちにもなる。留守中の家の守りを固めて、空き巣被害を食い止めるにはどうすればよいか。ベテラン刑事に防犯のコツを聞いた。
ベテラン「ドロ刑」に聞く対策
「空き巣犯にとって大型連休は、犯行のチャンスです」。窃盗担当の刑事「ドロ刑」歴25年の神奈川県警捜査3課、池田雄二警部(56)は話す。住宅が長期で留守になりがちで、犯行途中に家人が帰宅する可能性が低いからだという。
「狭くて物色に時間がかからないアパートを狙った」。今月、住居侵入や窃盗容疑で追送致された男はこう供述した。被害に遭った約100件のアパートの大半は、掃き出し窓などが無施錠だったという。
県警によると、昨年の県内の空き巣被害は1602件。侵入手段は半数以上がガラス破りだが、無施錠も約3割を占める。一戸建て住宅被害が約7割だった。
池田さんは「中高層住宅も要注意だ」と指摘する。エントランスがオートロックの場合、安心感からか上階の住民ほど窓などが無施錠の人が多いという。また、格子は簡単に外れてしまうので、泥棒よけにはならない。「風呂場の窓などからも泥棒は侵入します。湿気が気になるこれからの時期は、戸締まりを忘れがちです」
池田さんは「鍵を閉めても安心しないで。泥棒は、意外なものも利用します」と話す。屋外に置いたままの脚立や、無施錠の物置から足場になりそうなものを取り出して侵入する泥棒もいる。物置には鍵をかけ、足場になりそうなものは片付けることが重要だ。
鉢植えにあったスコップでガラスを割り、侵入した泥棒もいる。「泥棒目線で庭先を確認してください」
また、池田さんは「泥棒は合鍵を見つけ出すプロです」とも指摘する。今年3月、家人が隠していた合鍵を発見して家に侵入。空き巣をしたとして、男が逮捕された。マンションの郵便受けにチラシを投函(とうかん)するふりをして、合鍵を探し出す犯人もいるという。
泥棒に狙われにくい家の特徴を尋ねると、「泥棒が嫌がるのは『時間と手間』と、『人の目』です」と返ってきた。犯行時間を稼ぐには、玄関ドアや窓ガラスの二重ロック、ガラスの間に特殊なフィルムが挟まれた防犯ガラスが効果的だという。補助錠は、数百円で購入できるものもある。
「どうしましたか?」「こんにちは」。物色しているとき、犯行に及んでいる時にかけられるこんな一言で、犯行を断念する泥棒も多い。「センサーライトなどももちろん有効だが、一番は人の目。声を掛け合えるご近所づきあいは、防犯対策にもつながります」
池田さんは「泥棒側のリスクを増やし、被害に遭うリスクを減らして楽しいGWを過ごしてほしい」と話す。(神宮司実玲)
侵入盗から家を守るには
・玄関や窓などすべての鍵を閉める。トイレやお風呂場が忘れやすい
・補助錠も掛ける。その際、きちんと閉まっているかを確認する
・庭先に工具や脚立など、窓の破壊や足場などに利用できそうなものを放置しない
・物置にも鍵を掛けておく
・ガラスに市販の防犯フィルムを貼る
(神奈川県警への取材から)