来年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が29日、米ニューヨークの国連本部で始まった。米ロの関係悪化で軍縮の機運がしぼむ中、来年に向けて各国が合意点を見いだすことができるかが焦点になる。
国連軍縮部門トップの中満泉・事務次長は「核の価値が強調されることが多くなった。核保有の規制は弱まり、崩壊しているものもある」と指摘。「自らの立場に固執すれば合意点を見つけることはできない」と各国に釘を刺した。
日本からは辻清人外務政務官が出席し、「核兵器の使用は壊滅的な結果をもたらす」と強調。核兵器国と非核兵器国双方の協力の必要性を訴え、「NPTは維持、強化されなければならない」と述べた。
準備委は10日まで。NPTの柱である核軍縮、核不拡散、核の平和利用の三つのテーマなどについて各国が議論する。来年の再検討会議の土台となる「勧告」を全会一致で採択することをめざす。だが、核兵器をめぐる各国の立場の違いから、過去の準備委では一度も出されたことがなく、今回も議論は難航することが予想される。(ニューヨーク=藤原学思)