政情不安が続くベネズエラで4月30日、独裁的な支配を進めるマドゥロ政権側の治安部隊と、決起の呼びかけに応じた反マドゥロ派の兵士や市民とのあいだで衝突が断続的に続いた。政権側は「クーデターは失敗した」と主張している。
衝突は、暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長が兵士らに反政権の決起を呼びかけたことがきっかけで始まった。
現地報道などによると、衝突は国内各地で発生。首都カラカスでは、治安部隊がゴム弾や催涙弾を使って鎮圧を試みた。マドゥロ大統領に反対する市民らを装甲車がはね、複数のけが人が出た。
決起に応じた兵士がいると報じられたが、報道は断片的で、軍の離反の規模ははっきり分かっていない。ブラジル大統領府によると、離反したベネズエラ軍兵士25人がブラジル大使館に亡命を申請した。ブラジルはグアイド氏を支持している。
グアイド氏は30日夜、ツイッターに動画を投稿し、「不当に奪われた権力を止めるまで街頭に出よう」と呼びかけ、1日も抗議活動を続けることを表明した。
マドゥロ氏は強気の姿勢を保っている。30日、ツイッターに軍司令官らと会合を持ったと投稿し、「(軍部が)忠誠を誓った」と書き込んだ。また、ベネズエラのモンカダ国連大使は30日、米ニューヨークの国連本部で会見し、「完全に米国の支援によるものだった」と主張。「混乱と無秩序をもたらす目的で企てられた試みは、マドゥロ政権によって打ち負かされた」と述べた。
一方、ポンペオ米国務長官は30日、米CNNの取材に答え、マドゥロ氏が亡命を準備していたが、踏みとどまったと語った。「マドゥロ氏は滑走路に飛行機を用意し、出発する準備をしていた。ロシアが残るように求めた。(キューバの首都)ハバナに向かおうとしていた」という。具体的な根拠は示さなかった。(サンパウロ=岡田玄、ニューヨーク=藤原学思、ワシントン=渡辺丘)