独裁支配を強めるマドゥロ大統領と反マドゥロ派の対立で政情不安が続く南米ベネズエラで30日、暫定大統領就任を宣言したグアイド国会議長が首都カラカスの空軍基地に入り、兵士らに反政権で決起するよう呼びかけた。政権側は鎮圧する構えだ。軍はマドゥロ氏の有力支持基盤。呼びかけに応じて離反が進めば、同氏には大打撃になる。
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現地の報道や住民によると、グアイド氏は自宅軟禁中の野党指導者レオポルド・ロペス氏と共に30日早朝、反マドゥロ派の兵士らに守られながらカラカス中心部の空軍基地に入った。2人は「勇気ある軍人が私たちの元に駆けつけた」と強調し、兵士らに政権支持をやめるように訴えた。グアイド氏はその後、基地を出て演説し、マドゥロ政権打倒へ行動を呼びかけた。
これに対し、パドリノ国防相はツイッターに「軍は憲法と正統な統治者を守る」と投稿し、軍はマドゥロ政権を支持すると断言。基地周辺では政権側の治安部隊と反マドゥロ派が衝突し、混乱が続いている。
軍関係者によると、軍では盗聴などで兵士が離反しないように監視しているという。だが、食料不足に苦しむ下級兵士の間では水面下で政権を批判する声が広がっており、上層部は危機感を強めているという。(サンパウロ=岡田玄)