沖縄でメダカを駆逐する外来種として悪名が高い淡水魚カダヤシは、観賞魚としておなじみの外来種グッピーとの生存競争にはなぜか勝てない――。琉球大の研究チームが小魚の繁殖にこんな特徴があることを発見し、英科学誌に発表した。うまく利用すれば、外来種の駆除に応用できるという。
グッピーとカダヤシは、おなかの中で卵を孵化(ふか)させ稚魚を産み落とす卵胎生の小魚。雌の見た目はよく似ている。それぞれ北米、中南米と原産国は違うが、沖縄でメダカを駆逐し、分布競争を繰り広げてきた。
カダヤシは蚊の駆除を目的に国内の川などに放流された。沖縄では1960年代に在来種のメダカに取って代わった。グッピーは70年代に入り、沖縄でペットとして飼われていたのが川に持ち込まれ、今度はカダヤシに取って代わったとされる。
チームはこの両外来種による「入れ替わり」に着目。一つの水槽でカダヤシとグッピーを雌雄の組み合わせを変えて飼い、生まれてくるカダヤシの稚魚の数に影響するかどうか調べた。
その結果、グッピーの雄とカダヤシの雌雄を「同居」させた時に稚魚の数が減ることが判明。雌同士がよく似ており、グッピーの雄はカダヤシの雌と交尾するなどして、カダヤシの繁殖行動をじゃましている可能性があるという。グッピーの雌雄とカダヤシの雄を水槽に入れた時は大きな違いはみられなかった。
異なる種の間で起きるこうした現象は「繁殖干渉」と呼ばれる。植物や昆虫などでも異種の妨害で次世代が減る例が知られている。琉球大の鶴井香織・特命助教(生態学)は、「グッピーの雄を使ってカダヤシを根絶すると、その水域が雄のグッピーだけになるので、グッピーも減らせる可能性がある」と言う。(小林舞子)