自民党大阪府連と公明党大阪府本部は11日、大阪都構想の是非を問う住民投票の実施を容認すると表明した。4月の大阪府知事・大阪市長のダブル選で都構想をめざす大阪維新の会の候補が大勝したことを踏まえ、方針を転換した。大阪府・市両議会で維自公合わせて過半数に達するため、2度目となる住民投票実施の可能性が大幅に高まった。
自民も「住民投票容認」表明 大阪都構想、公明に続き
公明、大阪都構想の住民投票容認「強い民意示された」
維新代表の松井一郎・大阪市長は同日、記者団の取材に応じ、まず公明と来週にも協議に入る考えを表明。「1年程度をめどとして、法定協議書(都構想案)をまとめることを提案したい」と語った。そのうえで、住民投票の実施は早ければ来年末以降になるとの見通しを示した。
都構想は大阪市を廃止して東京23区のような特別区に再編する制度改革。2015年に大阪市民を対象に実施された初めての住民投票は僅差(きんさ)で否決された。「都構想の再挑戦」を掲げる維新はダブル選の大勝を受けて、新知事・新市長の任期である23年4月までの住民投票をめざしている。
一方、自公はダブル選で、都構想や住民投票の再実施に反対する候補を支援していた。
住民投票の実施には府・市両議会の過半数の議決が必要。維新は4月の統一地方選で躍進し、府議会で過半数を得たものの、市議会では2議席が足りない状況だった。自公が容認に転じたため、数の上で住民投票が実施できる環境が整ったことになる。
公明府本部代表の佐藤茂樹・衆院議員は11日、大阪市内で記者会見を開き、「知事、市長の任期中の住民投票の実施に協力する」と表明。「(都構想案を)より良い中身にすべきだ。前向きな議論をしっかりとしていきたい」と語った。
自民党府連はダブル選大敗などの責任をとって辞任した左藤章会長(衆院議員)の後任として同日付で会長に就任した渡嘉敷奈緒美・衆院議員が記者会見。「今回の民意を受けて住民投票は賛成したい」と表明し、都構想の賛否も「ゼロベースで考え直していく」と述べた。住民投票実施にも反対の立場だった従来の方針を大きく転換した。