「けん玉発案の地」とされる広島県呉市で12日、大勢の人が同時に皿で玉を受けるイベントが開かれた。695人が成功し、昨年2月に東京で達成された361人のギネス世界記録を大幅に更新した。
「スリー、ツー、ワン、ゴー」。呉港に面した海上自衛隊呉地方総監部グラウンドで、ギネスワールドレコーズ公式認定員のかけ声とともに約850人が手元のけん玉を振った。「695人。見事ギネス世界記録達成です」。認定員が発表すると、参加者は手を握り合ったり、ハイタッチしたりして歓声を上げた。
けん玉はフランスが起源とされ、江戸後期から日本でも親しまれるようになった。1918年、呉市で商売を営んでいた江草濱次(はまじ)氏が大小二つの皿が付いた現在の形を考案。翌年5月14日、「日月(にちげつ)ボール」の名で実用新案に登録され、同県廿日市(はつかいち)市の木工業者が量産したとされる。
呉市は昨夏、西日本豪雨で深刻な被害を受け、観光面でもダメージを受けた。会社員や学生らでつくる実行委員会が「けん玉発案100年の節目に、多くの人を呉に集めたい」と呼びかけ、この日のイベントには北海道や鹿児島からも参加者が駆けつけた。実行委員の金子健太郎さん(35)は「参加者の4割が県外。呉を元気づけようという思いと、けん玉が持つ力のすごさを感じた」と語った。(佐々木康之)