中国政府は15日、アジア各国との文化交流促進を目指す初の「アジア文明対話大会」を北京で開いた。開幕式で演説した習近平(シーチンピン)国家主席は「国際情勢が不安定になる中で、共通課題に対処するために文化文明の力が必要だ」と強調するなど、貿易紛争で衝突する米国を牽制(けんせい)した。
大会は、習氏が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」や「人類運命共同体」を文化交流で後押しすることを目指す。アジア47カ国など世界各地から文化、教育、観光分野の代表ら約2千人が招かれ、カンボジア、ギリシャ、スリランカなどの政府首脳が出席した。
習氏は、演説で「人類が直面するグローバルな課題はより深刻で、各国が協力する必要がある。アジアと世界の平等な対話、相互交流を促進するための新たな場を提供したい」と協調路線を展開。そのうえで「もし各国が孤島に閉じこもれば、人類文明は活力を失う。各国が開放精神を守り、政策の意思疎通、円滑な貿易などを促進することを願う」と保護主義に走る米国を当てこすった。
また、中国の立場について「相互尊重と平等を守る」と繰り返し強調。「人類には肌の色と言語の違いがあるだけで、優劣の差は絶対にない。自らの人種や文明が優れていると考え、他を改造しようとするのは愚かで破滅的なことだ」と語った。(北京=冨名腰隆)