中国で民主化を求めた学生らが軍に弾圧された1989年6月4日の天安門事件で、失脚した故・趙紫陽(チャオツーヤン)元総書記の政治秘書だった鮑彤(パオトン)氏が12日、香港の民主派団体「香港市民支援愛国民主運動連合会」が主催した同事件発生30年に関するフォーラムで中国共産党を非難する声明を発表した。
鮑氏は「天安門事件に関する随筆」と題した声明で「六四(天安門事件)は過去の悪夢ではない。六四以降、あらゆる権限を持つ共産党が軍や警察を率いて、国民に暴力的な抑圧を加えている」と非難し、「中国人は人生を共産党に厳しく支配されているが、香港も同じ事態が避けられないだろう」と訴えた。
趙氏は共産党トップの総書記だった89年5月、北京の天安門広場に集まっていた学生たちの民主化要求に理解を示したと非難され、秘書だった鮑氏は趙氏と共に失脚した。鮑氏はその後、共産党に批判的な立場から発言を続け、当局の監視下に置かれている。(上海=益満雄一郎)