北朝鮮の官製メディアで、インターネット媒体の「メアリ」(朝鮮語で「こだま」の意味)は12日、南北関係をめぐる韓国の姿勢について「根本的な問題を後ろに追いやって人道主義に言及するのは、空虚な甘言で民族への愚弄(ぐろう)だ」と批判する記事を掲載した。韓国が北朝鮮への人道支援に前向きな一方で、経済協力については米国に同調して慎重なことへの不満の表明とみられる。
記事は「北南宣言履行に積極的に乗り出さねば」と題し、「我々の要求と大きな距離がある人道主義協力事業をめぐり、まるで北南関係が前進するかのように大げさにふるまうのは、同族への礼儀を欠く行為だ」と主張した。
韓国政府は、北朝鮮が9日に短距離弾道ミサイルを発射した後も、北朝鮮へ食糧支援を進める方針を変えていない。文在寅(ムンジェイン)大統領は9日夜の韓国メディアのインタビューで「食糧支援は対話の膠着(こうちゃく)状態を打開する効果がある」と強調し、「同胞愛や人道主義からも食糧支援が必要だ」と国民の理解を訴えた。北朝鮮は韓国の支援を受け入れるかどうか、公式的な立場を明らかにしていない。(ソウル=武田肇)