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トランプ米政権が在イスラエル大使館をエルサレムに移転してから14日で1年となった。オバマ政権から一転、イスラエル寄りになったトランプ政権の姿勢はパレスチナ問題にも影を落としている。目立つのがユダヤ人入植地の拡大だ。(ヨルダン川西岸=高野遼)
「きっとうちも」家失うパレスチナ人
「ここの地面を掘り下げて、イスラエルは入植者のために新しい道路を造るつもりです」。パレスチナ人のファヘド・ヌジュムさん(48)は自宅前に広がる丘を指して言った。「きっと、うちの家も一緒に取り壊されてしまうんです」
自宅前で「ここにバイパス道路ができる」と話すファヘド・ヌジュムさん=2019年5月7日、ベイト・ウンマル、高野遼撮影
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベイト・ウンマルの町では、イスラエル政府によるバイパス道路建設の話で持ちきりだった。
入植地が拡大しているヨルダン川西岸はもともと、第3次中東戦争でイスラエルが占領した土地だ。占領地へ国民を移住させること(入植)は国際人道法のジュネーブ条約に違反する。それでもイスラエルは入植を進め、今では130カ所以上で約40万人が暮らす。このほか東エルサレムなどにも20万人以上の入植者がいる。
ブレーキが外れて、一気に動いたイスラエル政府。入植地の最前線に向かった記者の前には、グーグルマップにすら表示されない新しい町が生まれていた
道路建設も入植地拡大への準備…