イラクの首都バグダッドの米大使館などが集まる地域に19日夜、ロケット弾1発が撃ち込まれた。イラク軍などによると、けが人はなかったという。米政府は、イラクでイランやその傘下の武装組織が米国関係者を攻撃する情報があるとし、15日に一部の大使館職員らに出国を指示したばかりで、さらに緊張が高まる可能性がある。
現場は政府庁舎や大使館などが集中し、厳重な警備が敷かれる「グリーンゾーン」と呼ばれる地域。ロケット弾は米大使館近くに着弾した。犯行主体は不明だが、治安当局はグリーンゾーンからチグリス川をはさんで東側でロケットの発射装置を発見したという。
米政府はイランによる脅威を主張し、中東に原子力空母を派遣するなど圧力を強めている。イラクでは、イランとつながりを持つ軍事組織が活動する一方、米軍も過激派組織「イスラム国」(IS)に対する掃討作戦を支援してきた約5千人が駐留している。
トランプ米大統領は19日、この事件後に「もしイランが戦いたいなら、それがイランにとって正式な終わりになるだろう。米国を二度と脅すな!」とツイートした。(ワシントン=渡辺丘、ドバイ=高野裕介)