米国防総省は10日、ミサイルを迎撃できる地対空誘導弾パトリオットの部隊と、港がない場所でも車両などを上陸させることができる輸送揚陸艦アーリントンを、中東地域に派遣すると発表した。「イランが米軍などへの攻撃準備をしている兆候に対応するため」と説明している。中東へ派遣済みの空母を中心とする艦船群(空母打撃群)と合わせて、イランへの牽制(けんせい)を強める狙いだ。
中東を管轄する中央軍の要請を受けて、シャナハン国防長官代行が承認した。米メディアは「イランが短距離弾道ミサイルをペルシャ湾上の艦船に移動させた可能性が高い」と報じており、そうした情報を受けて今回の措置に至ったとみられている。米軍は、原子力空母エイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群や爆撃機部隊も中東に展開している。
一方、イランのラバンチ国連大使は米NBCテレビのインタビューで「全てうその情報だ。米国が(大量破壊兵器があるとして)イラクを侵攻した際と同じ人々が作り出した」と述べ、イランが攻撃を準備しているとの米側の情報を否定した。(ワシントン=渡辺丘)