前方を走る車との距離を極端に詰める「あおり運転」の取り締まりに兵庫県警が力を入れている。兵庫県警によると、県内では昨年1年間で1782件を摘発し、前年より約7・5倍増えた。1件を除いて高速道路上で起きたといい、重大事故を防ぐため、県警は安全運転のPRにも重点を置く。
「あおり運転」そのものについて、道路交通法に定義はなく、前方の車に激しく近づいたり、急な割り込みや進路変更をしたりする行為をさす。このうち、車間を詰めた運転は「車間距離の保持」を定めた道交法26条に違反する。交通指導課によると、昨年1年間で摘発した1782件はこの規定によるものだ。過去5年間の摘発件数は、2013年(388件)▽14年(251件)▽15年(151件)▽16年(171件)▽17年(235件)と続き、この1年で急増した。
背景には、神奈川県の東名高速道路で2017年6月、あおり運転で停車させられたワゴン車がトラックに追突されて夫婦が死亡した事故がある。県内ではこの事故を機に、高速隊が覆面パトカーの台数を増やして取り締まるなど、態勢を拡充。悪質なあおり運転について、危険運転致死傷や暴行容疑の適用も視野に捜査を進めてきた。
昨年12月には、神戸市北区の山陽自動車道で、乗用車を運転していた男が、女性が運転する車の前に割り込み、蛇行や低速運転を繰り返して走行を妨げ、道路上で約20秒間停車させるなどした疑いで、道路交通法違反と暴行容疑で逮捕された。県警によると、県内の高速道路・自動車専用道路の総距離は691キロ。北海道に次ぐ全国2位の長さで、交通量も多い。県警は「あおり運転にあった時は、サービスエリアなど安全な場所に避難して、通報してほしい」としている。
■運転中9割がイライラ経験 家…