津波で大きな被害を受けた街の再建を進めてきた宮城県名取市閖上地区で、26日、「まちびらき」があった。5メートルの高さにかさ上げされた新しい市街地で、住宅や学校、商業施設などの整備にめどがつき、これまでの支援に感謝をあらわそうと様々なイベントが行われた。復興に関わったボランティアなど、各地から2万人が訪れた。
記念式典で山田司郎市長は「新しい閖上が未来に向かうスタートラインだ」とあいさつした。5700人が住んでいた漁港の町は、建物の多くが流失し、750人以上が犠牲に。海の近くに戻りたくないという人も多く、街の計画人口は2100人まで縮んだ。住民で構成されるまちづくり協議会の針生勉さん(56)は「魅力のある閖上にして多くの人に来てもらうことが恩返しになる」と話した。
閖上の地名は、奈良時代に浜に光り輝くご神体が揺りあげられたことに由来する。ご神体をまつる市内の熊野那智神社のみこしが里帰りする「お浜降り」の神事もあり、大勢にかつがれて閖上の復興を祝福。震災前まで毎年夏に行われていた大漁船パレードも、復活した。(石橋英昭)