クレジットカード決済をすれば、代金に数%が上乗せされて返金される――。岡山県の「西山ファーム」が提供していた副業ビジネスをめぐり、「返金が途絶えた」との声が相次いでいる。愛知県警は28日に関係先を家宅捜索するなど強制捜査に乗り出した。数百万円規模のカード支払いを抱えた参加者たちは、突然の事態に途方に暮れている。
クレカ使う副業めぐりトラブルか 西山ファームを捜索
西山ファームが提供する副業に参加者した名古屋市の男性会社員(46)は、約1600万円が手元に戻らないままだ。
始まりは2017年夏、知人からの話だった。「西山ファームは果物を香港などで売っていて、海外では良い値段で売れる」。参加することで同ファームの事業拡大に貢献し、参加者にも利益がある、という説明だったという。
興味を持ち、名古屋駅近くのホテルの喫茶店で同ファーム関係者という人から詳しく説明を受けた。「西山ファーム問合せ窓口」にLINEで登録をして、カード2枚の限度額や引き落とし日、返金用口座を伝えた。
翌月、窓口から「発注をお願い致します」「70万円程度」と、ネットショップのURLを添えて指示がきた。70万円分の商品を注文してカード決済をしろという指示だ。男性は商品約72万円分のカード決済し、同ファームに報告。すると引き落とし日の前に、決済額に数%を加えた額が入金された。果物は送られてこなかった。
「本当に果物を売って利益が出ていると思っていた」。限度額に合わせた指示が毎月届き、返金もあった。安心してカードを7枚増やし、18年後半は月に約400万~600万円ほどを決済するようになった。
また、「保証金」の名目で金を入れると1・5%、500万円以上なら3%の金が毎月入るとも案内さた。男性は計数百万円を同ファームに振り込み、約束通りの支払いを受けていた。
しかし、今年3月の返金がなく、突然計約800万円超のカード会社への支払いを抱えた。2月に上乗せ分の入金がなくて不審に感じていた矢先だった。
同ファームからは直後、「1年間かけて返済する」ことへ合意を求める文書がLINEで届いた。信用できずに弁護士に相談し、まず保証金の返還を求めたが、対応がないという。
リボ払いに切り替えるなどして現在、月々約30万円をカード会社に支払う。年金や投資信託、貯金を崩して対応する予定だ。同ファームに損害賠償を求めて提訴することも検討中という。男性は「お金が返ってくることが一番だが、おそらく無理だろう。責任者には責任をとって欲しい」と話す。(田中恭太)