逮捕から44年間を経ての無罪確定から、さらに8年。「布川(ふかわ)事件」をめぐる訴訟で東京地裁は27日、検察の証拠開示、警察の捜査にそれぞれ違法性があったと判断し、国と茨城県に賠償を命じた。原告の桜井昌司さん(72)は「裁判所が踏み込んでくれたことに感謝したい」と笑顔を見せた。
「検察官は公益の代表者として、事案の真相を明らかにする職責を負う。裁判の結果に影響を及ぼす証拠は、有利不利を問わずに法廷に出すべき義務がある」。判決はこう指摘し、元の裁判での検察の証拠開示のあり方を検討した。
東京高裁の控訴審では弁護側が未提出の捜査報告書や供述調書の開示を求めていたが、検察は「関連性や必要性が薄い」などと拒否。結果的に、一審の無期懲役判決が支持された。
27日の判決はこれらの証拠のうち、「桜井さんらを被害者方の前で見た」などと最終的に証言した複数の目撃者に関する捜査初期の報告書などに注目。「目撃した」という供述がなかったり、あっても日付を断定できていなかったりしていたことを踏まえ、「有罪を支える証言の信用性に影響を与えるもので開示の必要性は大きい」と指摘。拒んだ行為は違法と認定した。
茨城県警の捜査や公判対応も厳しく追及した。
桜井さんは、事件で亡くなった…