学校法人森友学園(大阪市)の補助金不正事件で、国の補助金など計約1億7千万円をだまし取ったとして詐欺罪などに問われた学園前理事長の籠池泰典被告(66)と妻諄子(じゅんこ)被告(62)の公判で、私立学校の認可手続きを担当する大阪府私学課の当時の職員に対する証人尋問が29日、大阪地裁で始まった。7月まで計19人が証人として出廷する。
籠池被告、10分の持論展開 検察幹部「言わせておけ」
検察側は、両被告が小学校建設のために金額を水増しした虚偽の契約書を関係業者に作らせるなどして国の補助金約5600万円を詐取したと主張。運営する幼稚園でも府と大阪市の補助金計約1億2千万円をだまし取ったとしている。
この日出廷した職員は小学校設立の認可をめぐる学園側とのやりとりを証言。学園側が「建設費用7億4千万円、借入金5億円」とした資金計画書について、同課が「借入金が多く認可基準を満たしていない」と伝えたところ、「建設費用4億円、借入金なし」とする新たな資金計画書が提出されたとした。
両被告側は、国への補助金申請は業者が主導したため詳細は知らず、だまし取る意図はなかったなどとして無罪を主張。幼稚園の補助金については、泰典被告側は一部適法だったとし、諄子被告側は不正申請への関与を一切否定している。
公判では9月までに被告人質問を実施し、10月30日の第15回公判で結審する予定だ。(米田優人、細見卓司)