アパート建設大手「レオパレス21」が法令に抵触するアパートを施工していた問題で、弁護士による第三者委員会は29日、最終報告書を公表した。創業者で元社長の深山祐助氏の「ワンマン体制」が不正の温床になったとしたほか、全社的に事実に反する建築確認申請を行うなど、同社の組織的な問題を指摘した。
レオパレス、社内取締役7人一斉退任へ 次期社長除き
レオパレスは同日、祐助氏(2006年退任)のおいにあたる深山英世社長を含む取締役7人が問題の責任を取り、退任する人事を発表。ただ物件の調査や工事、入居者の引っ越しは滞っており、問題の解決は道半ばだ。
レオパレスをめぐっては昨春、延焼を防ぐ天井裏の仕切り壁が設置されていないなどの不備が発覚。さらに同社は2月、外壁、天井の耐火性などが国の基準に合わない物件が計1324棟あったと公表した。
報告書は問題の原因・背景として、「(祐助氏の)ワンマン体制に陥っていた」と明記。聞き取りなどに対し、社内から「祐助氏に進言しにくい雰囲気だった」「当時は祐助氏と、それ以外の社員という区別しかなかった」との声が相次いだという。仕切り壁や外壁の内部に建築基準法に適合しないウレタンが使用されていた問題では、社長だった祐助氏の指示が発端となったと指摘した。
ただ、同法の基準に不適合であることを認識していたかについて、祐助氏は否定。報告書は「担当部署の責任者がワンマン社長の祐助氏に相談することもなく独断で行ったとは信じがたい」と言及しつつも、客観的証拠は得られず「疑いは残るが不適合を認識しつつ使用を指示したとまでは認定できなかった」とした。
社の体質にも言及し、天井裏に仕切り壁がなかった不備では、設置は不要と都合よく解釈する一方、図面上は法令に適合する部材が使われているかのような記載にしていたとして、「全社的に確認済証を、言わばだまし取った」と批判した。
また、社内外から建築基準法違反の指摘があったものの、「リスク感知体制の不備」から、問題が放置されたと結論付けた。深山英世社長は会見で「早期に改善がはかられてこなかったのは残念」と話した。
問題発覚を受け、同社は全物件約3万9千棟を対象に調査を開始。4月末時点で調査を終えた約2万1千棟のうち7割超にあたる1万5628棟で不備が見つかっている。国土交通省は、調査を終えた上で10月までに補修工事をするよう指示。同社の建築士や同社に対し、営業停止などの行政処分も検討している。
不備に伴う引っ越しも課題だ。同社は天井の耐火性能を満たさない約7千戸の入居者に3月末までに退去してもらうとしていたが、4月末時点で1143戸の引っ越しが済んでいないという。(岡戸佑樹)
■深山社長は「相談役、あるいは…