入学式を迎えてから約2カ月。大きなランドセルを背負ったピカピカの1年生たちは、小学校に慣れ始めてきたころかもしれない。そんななか早くも、来春入学する子ども用の「ランドセル商戦」が本格化するという。百貨店などではゴールデンウィーク前からとりそろえる。就職活動の「シューカツ」ならぬ、「ラン活」という言葉も広まりつつある。
知っとこ!DATA 数字からトレンドを読み解く
奈良県樫原市のランドセルメーカー「鞄工房山本」は4月7日に売り出したところ、商品によってはキャンセル待ちが続く。1日70個ほどのペースで手作りするが、「ここ数年は注文が増えて追いつかない状況」(担当者)という。
ニッセイ基礎研究所の推計では、ランドセルの市場規模は2018年が546億円で、08年の405億円から3割拡大した。ランドセル価格の上昇が理由で、メーカーで構成するランドセル工業会によると、19年のランドセルの平均価格は5万2300円で、09年から5割も値上がりした。さらに同会の調査では、ランドセルの代金を支払うのは、61%が祖父母だった。1世帯あたりの子どもの数が減り、入学する「孫へのプレゼント」として定着してきた。
少子化で販売減が予想されるなか、メーカーも高級路線にシフトする。セイバン(兵庫県たつの市)は、10年ほど前に黒や赤の定番色のランドセルをスーパーなどで大量販売する方向性を転換。青や紫、茶色などもそろえ、「コンバース」「プーマ」といったシューズメーカーと組んだ商品も開発。使いやすさやおしゃれさなどを強調している。
中小の鞄メーカーが、本革を素材にしたり、表面につやをだしたりした高級ランドセルも人気を呼ぶ。ファッションブランド「サマンサタバサ」からも、10万円近くする商品が発売されるなど、高価格化に拍車がかかっている。(神山純一)
子ども服ブランド「ミキハウス」のコードバン(馬革)を使ったランドセルの希望小売価格は20万円(税抜き)。年30個の数量限定。ランドセルのふたにあたる部分に馬革を採用し、背負う部分はやわらかめの牛革で仕上げた。色は黒とワインレッドの2種類がある。(知っとこ!DATA)